アジア各国に生まれ出たエスニック麻雀牌の数々


欧米と同じようにアジア諸国でも、麻雀は1920年代から広く普及した。とくに東南アジアの華僑社会では、もともと馬吊の紙牌が遊ばれていたため、麻雀が普及する下地はできていたといえる。じっさいに中国系住民のあいだで麻雀は活発に遊ばれたが、1920年代には在アジアの欧米人も麻雀に親しんでいた。 東南アジア麻雀の特徴は花牌が多いことにある。現在の日本ではほとんど花牌は使われないが、その花牌を地域によっては20枚も入れて遊ぶ。ちょうど中国で花牌に人気があった時期に伝播したためか、その後の中国では使われなくなった古いタイプが残り、独特の発展を遂げることになった。
プレイ中の使用方法としては、横に出して加点されるものと、ジョーカーとして使える万能牌に分かれる。いずれにしても花牌の枚数がゲームに大きな影響を与え、技術よりも運の要素が強くなっている。


ドイ・モイが生んだベトナムの珠玉 縁貝殻面牌

エスニックな美しさを持つベトナム製「黒縁貝殻面牌」。水牛の黒い角に薄い貝殻がはめ込まれた螺鈿(らでん)細工風になっている。東南アジア特有で花牌が多く、6種24枚も入っている。「春夏秋冬」「梅蘭菊竹」とともに「皇」「后」も加点されるタイプの花牌で、「総萬筒索」「花合喜元」がオールマイティ牌である。ベトナムは中国に隣接しているため、早くから麻雀が移入された。社会主義国となったいまでも、最近の「ドイ・モイ」政策もあって麻雀人気は復活しつつあり、麻雀牌の輸出は外貨獲得の一助となっている。


戦火をくぐり抜けた歴史証言牌

朝鮮戦争の戦火をくぐり抜けてきた象牙牌。韓国では第二次世界大戦まで麻雀は盛んだったが、解放後、朝鮮戦争を経てほとんど行われなくなった。この牌の存在により、1索が銅銭背負い鳥という中国北部の古い意匠が韓国にも伝わっていたことがわかる。花牌の財神は中国風でなく、韓国の両斑(貴族階級)に近くなっていることからも、韓国産と見て間違いないだろう。戦火に焼かれて変質しているうえに欠牌も多いが、20世紀初頭の日韓併合前後までさかのぼるものとみられ、韓国の古い麻雀事情を知るための貴重な資料である。
世界最多花牌セット
タイで使われているプラスチック麻雀牌で、香港メーカーが製作したもの。とにかく花牌が多く、その数8種32枚。「春夏秋冬」「梅蘭菊竹」「漁樵耕読」「琴棋書画」に、京劇「聚寳盆」の富豪・沈仲栄と聚寳盆、太公望と魚、「鶏虫得失」の故事にちなんだ鶏とムカデ、「窮鼠」の猫とネズミ。さらに「花合喜元」「総萬筒索」のオールマイティ牌と、まさに百花繚乱の華やかさである。

ゼイタクの極み!ー純金牌
これ以上豪華な牌は存在しないともいえる、台湾製の純金牌。牌の背が6ミリ巾の24金で、龍が浮き彫りになっている。牌身は型押しのプラスチック。ケースには「麻将十大原則」の金言板が収められており、「準時赴會」「圏數先議」「洗牌迅速」から「家安事順」「敬老尊賢」まで並んでいる。





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